理科の学習でめざすもの

手を動かしてモノから学ぶ、自然科学の方法
理科では、授業を通して自然科学の方法を身につけてほしいと考えています。中学1・2年生では、観察や実験中心の授業を行い、自然現象を観察する方法や態度を学びます。中学2年生の後半から3年生では、観察や実験で得られた結果から、全く別々に見える現象がひとつの式で表されたり、それぞれ異なるように見える花のつくりも、ある規則に基づいていたり、というように、具体的な現象を抽象化していきます。そして、抽象化した内容がさらに多くの現象とどのように関係するかを学びます。これこそが、自然科学の方法なのです。
上記の理由から、理科の時間は観察や実験が多くなります。その結果をレポートにまとめることも必要になります。観察して気付いたことをスケッチに残したり、実験の結果から何がわかるのか考えたりします。そのような過程を通して、科学的な方法を身につけていきます。たとえ中学校の授業であろうとも、高校でも教えている物理・化学・生物・地学の専門の教員が授業を行うので、授業の質の高さと幅の広さには定評があります。加えて、中高一貫であるもう1つのメリットは、高校の授業で使う実験器具がそのまま使用できることです。
物理では、「力学の基礎」「電気と磁気の基礎」「光と音の現象の探究」を三本柱とし、生徒実験・規則性の発見・体系化・各現象の再評価を基本姿勢として、授業を展開します。たとえば、レーザー光を使って光の特性を解明したり、発振器やオシロスコープを使って音の特性を調べたり、オシロスコープなどを使って電気と磁気の相互作用を解明したりする実験などを行います。
化学では、はじめからあまり高度な内容を扱うことはせず、基礎的な事項を重視しています。数多く行う実験と実験ノートの作成、データの整理や考察などを通して、実験の技術と、物質を科学的に探究する力を育てていきます。
生物では、まず植物や微生物の観察を中心に観察の仕方を学び、自分が観察を通して理解した内容をスケッチなどで伝える方法を学びます。その後、光合成や呼吸などについて基本的な実験を行い、科学的に記載する方法を学びます。そして、植物や動物のからだのつくりとはたらき、遺伝や進化、生態系などの分野を深めていきます。
地学では、我々の棲む地球について学びます。大地と大気、そして周りを取り囲む宇宙を知ることで、地球の特徴について理解を深めます。扱う事象のスケールが大きいので、抽象化した実験や映像教材が多くなりがちですが、手にとって観察できるものはなるべく実物を用いたり、中学3年生の秋には野外学習として神奈川県の城ヶ島で地層の観察や測定を行ったりしています。
このように見ると、4つの科目でまったく異なる学習をするように感じるかもしれませんが、今注目されている遺伝子1つをとっても、化学や物理の知識がなければ深い理解はできません。さまざまな自然現象を、より広い観点で深く学ぶのが中学校の理科の授業なのです。