水田学習
中学生による「ケルネル田圃日誌」
2020年8月1日 更新
5月の田植え以降ケルネル田圃ではイネが随分大きくなりました。
今回は現役の中学生が綴った観察日誌をご紹介したいと思います。既に水田稲作学習を経験している生徒の植物や昆虫を観察する様子をお楽しみください。ぜひ、一緒に探索している気分でご覧いただければと思います。
≪ケルネル田圃日誌≫
皆さんこんにちは! 7月21日に期末が終わり、嬉しくて水田に行ったので、今日はその報告をしたいと思います。「日誌」などと大仰なタイトルを付けましたが、個人的な趣味で見た生き物を何となく書いているだけなので、気楽に読んでもらえるとありがたいです。
まず田圃のメインである稲です。コナギ等の雑草は生えていましたが、全体的にはきれいで、水が流れてくるところの稲が流されてしまっていたのが目についた程度でした。写真のように50㎝ほどまで生長し、茎も太く元気そうなので、ちょっとやそっとでは倒れなさそう。
濃い緑色がきれいです。
さあ生き物の話へ。田圃に入って1番最初に出迎えてくれたのは、ヒトスジシマカでした。あの一番有名な黒い「蚊」です。ありがたいことに、なぜかリュックサックが気に入ったようで、こっちには見向きもせずにリュックサックにとまったり飛んだりしています。リュックを置いて進みます。すると、目の前をふわーりふわりと飛んで行くオレンジの蝶が。
蝶はみんな「ふわりふわり」じゃないの、と思われるかもしれませんが、この蝶は本当に「ふわーりふわり」なんです。蝶だって飛び方は「ふわーりふわり」とは限りません。例えばモンシロチョウは「パタパタパタパタ」です。結構せわしなく羽根を動かしています。これがセセリチョウかなんかになると「バタバタバタバタッ」です。スズメガなんて「バババババババッ」で一か所に止まりながら飛ぶという、ハチドリみたいな芸当をやっています。話がそれました。とにかくこの生き物はあまりはばたかず、滑空の時間が長いのです。ツマグロヒョウモンという蝶でした。
横に折れてあぜ道の奥に進むと、「ふわーりふわり」ではありませんが、ひらひらと飛ぶ生き物が。
きれいです。全身オレンジ色です。
後で調べてみたところ、アジアイトトンボの雌の未熟個体っぽいな、と分かりました。イトトンボはみんなよく似ていて分かりづらいです。
みんなひらひらとかふわふわだな、と思っていると、向こうからブーンと何か飛んできます。
ああ、おなじみのシオカラトンボだな、と思ったら・・・
あれっ?なんか違くない?
違いますよね。
まず上の方が尻尾の黒い部分が圧倒的に少ない。そして目の色。上は濃い褐色ですが、下は水色っぽい緑っぽい色ですよね。更に上の羽は先っぽが黒っぽいですが、下は透明なまま。
違うぞ!と思って調べたら、やっぱり…
上はオオシオカラトンボで、下はシオカラトンボでした。
この後もトンボの写真は出すので、どっちか考えてみて下さい。
あぜ道を引き返すと、左の田圃から右の田圃にぴょんぴょん何か飛んでいきます。
まさか、と思って左を見ると、うわぁ…
いっぱいいます。佃煮にしたら美味しそうです。
イナゴの幼虫です。葉もかじっている様子です。生き物好きとしては嬉しいのですが、稲は大丈夫でしょうか。
イナゴを食べてくれそうな生き物もいます。
こっちを見ています。ハラビロカマキリの幼虫です。今は小さいですが、もう少し立てば、苦も無くイナゴを捕まえられるはず。
カマキリっていいですよね。格好いいし、見つけたらとても嬉しくなる。
さて、また戻ってさらに水田の奥に進みます。
ふと横を見ると。大変なことが。
大きな穴が開いて水が流れ込んでいます。
道理で水路の水が多いはずです。泥でふさいだところ下のようになったのですが、草が引きずり込まれていきます。どうやら中にアメリカザリガニがいるようです。
下に水があまり行っていないので、結構大変です。
さらに進むと、環境モニタゾーンが出てきます。背の高い草に覆われたところです。さすがに半袖半ズボンで入る勇気はなかったので、そこで折れてあぜ道に入り、トンボを撮影しました。
何トンボでしょう?
そして、また引き返そうとしたとき。
おや?
捕まえてみましょう。
しっぽがめちゃくちゃ長いです。カナヘビです。
ちなみにこちらはよく間違われるニホントカゲ(写真は幼体ですが)。この個体は筑駒校内で採ったものです。
ニホントカゲは、光沢がありますが、カナヘビはないです。
何となくカナヘビは恐竜っぽい。
はなすと、勢いよく走っていき、その勢いで水路に落ちたのですが、水路でも勢いは衰えず、突っ切って向こうにわたり、姿を消しました。
水田の角を見ると、あれ?
小さな虫がたくさんいます。
コマツモムシです。
水の中の昆虫はわくわくします。不思議な生き物、といった感じです。
去年は1匹しか確認できなかったのですが、こんなにいっぱいいるのは嬉しいです。
トンボが近くで見ていました。
そういえば、メダカが泳いでいました。魚も姿を見るのは嬉しいものです。
ただザリガニがたくさんいたのが気になりました。
足洗い場まで帰ると、アメンボがたくさん泳いでいました。
下は水田で見かけたペアです。
帰ろうとしていると、バシャバシャという音が。一瞬何が何だか分かりませんでした。
シオカラトンボが何かに襲われている?
拾い上げてみると…
ミンミンゼミです。羽根が少し変に曲がっているかな?
鳴き声は聞きましたが、ミンミンは見たのは今年初めて。嬉しい出会いでした。
そういえばバルタン星人って本当にセミに似ています。顔なんかそっくりです。
ウルトラマンに似ている虫はいません。ウルトラマンかわいそう。
それでは、今回はここまで。
※ 写真を撮影したのも本文を書いたのも本校生徒です。机上では学ぶことのできない、この様な楽しみ方もあるのではないでしょうか。以上、ケルネル田圃の観察日誌でした。