校長挨拶

駒場農学のレガシーを継承して
駒場東大前駅の西口から出て線路沿いに歩くと、目黒区立駒場野公園の入り口が見えてきますが、そこに細長い小さな水田があるのをご存知でしょうか。これこそが日本近代農学の発祥の地となった駒場の農学レガシーの一つケルネル水田です。その詳細は園内に立つ記念碑の撰文に譲りますが、そこからは本校が遠い茨城県つくば市にある筑波大学の附属であることの理由を知ることができます。そして、かつて駒場に存在した現在の東京大学農学部や筑波大学生物資源学類(当時は東京教育大学農学部)がこの地を去った後も、ここを教育活動の場として継承し活用してきた本校の努力があったからこそ、都内では数少ない貴重な水田の一つとして守られてきたことがわかります。
本校はこのケルネル水田での稲作実習をはじめ、フィールドワークに始まる地域研究や教科学習を基礎として探究を進める課題研究など、農学における教育研究にも通じるユニークな授業を展開しています。筑駒と言えば、大学への進学実績がよく取り上げられるせいか、多くの方々より教科学習のみに専念する学校のように思われているかもしれません。しかし、私共の教育方針の中心には、生徒諸君の心と体の両方を発達させようとする「全面的な人格の形成」が据えられており、それを「学業」のみならず「学校行事」や「クラブ活動」といった教育機能により等しく支える形をとっております。
すなわち学業では、受験を目的とするものではなく、あくまでも学習の基本を定着させながら生徒自らが好奇心と探求心をもって学習する姿勢を涵養します。また本校の名物とされる三つの学校行事(音楽祭、体育祭、文化祭)は、企画から完成までの共同作業を通じて互いに切磋琢磨しながら、集団におけるけん引力・協調性を育みます。さらにクラブ活動では肉体的・精神的な基盤をより向上させながら、先輩後輩や同輩との関係を大切にできる心を養います。さらに、これらの教育方針とともに本校が目標として掲げているのが、「挑戦、創造、貢献」という3つの生き方です。ここで言う挑戦とは、新しい世界を切り開こうとする精神面での姿勢を、創造とは本校が長年標榜し、かつ校風としてきた「自由・闊達」の具体的な表現を意味しており、そしてこれら挑戦と創造の産物を社会に貢献し、目標を完結させます。
これらの教育方針ならびに目標の達成に向けて、総合研究型大学である筑波大学の附属という駒場農学のレガシーを継承・活用しながら、これからも日本そして世界から望まれるグローバルトップリーダーの育成につなげる教育の場であり続けたいと思います。

- 筑波大学附属駒場中・高等学校長
筑波大学生命環境系教授 - 北村 豊
学校沿革
1947年 | 東京農業教育専門学校附属中学校として開校 |
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1952年 | 東京教育大学附属駒場中学校・高等学校と改称 |
1978年 | 筑波大学附属駒場中学校・高等学校と改称 |
2004年 | 国立大学法人筑波大学附属駒場中学校・高等学校となる |
生徒数(男子のみ)
中学校 | 1学年3学級・定員約120名 (全員が高校へ連絡進学) |
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高等学校 | 1学年4学級・定員約160名 |
学校いじめ防止基本方針
いじめ防止に関する基本方針をまとめました。