c.SSH生徒研究発表会

1.仮説

本校の総合学習の時間で開講している高校2年生の「ゼミナール」および高3「テーマ研究」では、各自が課題を決めて研究に取り組んでいる。この研究の成果の発表は、校内でもおこなっている。しかし、他校の生徒や一般の方へ発表を行い、率直な質問や助言をいただくことで、さらに研究は深まると考えている。そこで、生徒研究発表会にポスターセッションで参加し、納得のいく説明、臨機応変な対応が出来るようになることやこれらの体験を通して、自分の研究をさらに深めていこうという動機付けにもなることを期待した。

2.方法

今年度は、平成19年度高校2年生で「分析化学ゼミナール」を受講し、高校3年生で継続研究をしているものについて発表を行った。発表した研究テーマは、以下の3件である。

集合写真

「水の分析」は、総硬度を測定するものと残留塩素濃度の時間変化を測定するものと2名による共同研究である。総硬度の測定は、河川の上流部から河口までの水を採取、EDTAを用いて総硬度を測定し、その値の変化と流域周辺の環境との関係について考察を行った。一方、残留塩素濃度の測定は、旧来オルトトリジン法によって行われてきたが、発ガン性などの懸念もあり現在では行われていない。そこで、DPD法を用いて水の保存方法の違いによって残留塩素濃度がどのように変化するのか測定した。「ビタミンCの定量」は、オーソドックスな測定方法であるが、結果として表示の20%以上高い値が得られたので、複数メーカーの飲料水について時間変化も同時に測定したものである。「CaSO4沈殿の塩酸への溶解」は、高2の通常授業時に確認された現象についての研究である。硫酸カルシウムCaSO4は、硫酸の塩であるから塩酸には溶解しないことは、高校生でも知っている。しかし、2M 塩酸を加えると溶解するという現象が授業の実験時に確認された。発表時には明確な理由が分からず、試行錯誤した研究結果の発表を行った。
野依良治先生の講演「憧れと感動、そして志」
野依良治先生の講演写真

3.検証

発表者以外にも数名の参加者があったが、発表会場(パシフィコ横浜)の雰囲気や開会式の野依良治先生(ノーベル化学賞受賞者)の講演を聴いているうちに、研究発表への期待が高まっているようであった。研究発表を行った生徒達は、臨機応変に丁寧に質疑応答を繰り返すことで、発表に対して前向きな姿勢が見られるようになってきた。今後も、このような研究発表会へ参加することで生徒のサイエンスコミュニケーション能力の育成に努めていきたい。最後に、「CaSO4沈殿の塩酸への溶解」の研究については、東京大学大学院総合文化研究科教授の下井守先生からご助言を頂きました。この場を借りて感謝申し上げます。

(文責:化学科・吉田哲也)