別紙様式2-1
筑波大学附属駒場高等学校 19〜23

平成20年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題

①研究開発の成果

平成14年度からのSSHを引き継いで、今年度より新たな研究課題を掲げて再継続5年間の指定を受けた。これまでのSSHの5年間では、十分な時間をかけて教材開発とカリキュラム研究に取り組み、満足のいく成果を挙げられたと考えている。しかし、一方でこれらの取り組みが教師主導型の実践であった感もあり、国際社会での活躍に十分なサイエンスコミュニケーション能力を持った科学者・技術者を育成するためには、生徒の主体的な学習活動にも目を向けた取り組みが必要であると感じた。そのために、高校生から中学生へ、また可能であれば大学生・大学院生から高校生へ、中学生から小学生へ、といった活動等も包括しつつ、生徒同士の教え合い・学び合いを効果的に行うための方策を研究していきたいと考えている。また、海外生徒との研究交流を持つプログラムを計画・実施し、生徒の成長を促す機会をできるだけ多く持ちたいと願っている。校内的には、研究組織についても、従来の教科中心的なものから、教科を超えた教員の集まりである校内プロジェクト研究組織(I~IV)等に少しずつ軸足を移していくことが新しいSSHにおける本校の大きな課題であると言えよう。

校内プロジェクトI教育実践1では、昨年度に引き続き、研究内容の柱(ⅰ)のサイエンスコミュニケーション能力育成に関わる研究・実践を行った。当初からの計画であった高校2年生が中学3年生を教えるスタイルの合同授業が、1回だけではあったが中3テーマ学習高2ゼミナール同時開講で一部実現した。高校2年生は、科学的コンテンツを「教える・伝える」という活動から一層の深い理解が求められることを実感した。意外にも中学3年生には身近な先輩からの指導を新鮮に受け止め意欲的に学習する効果が見られた。また、中学生、高校生が小学校の児童を教えた「サマースクール」も、同様にサイエンスコミュニケーション能力育成の良い機会となった。昨年度から立ち上がった生徒によるSSH評価・運営組織であるサイエンス・コミッティも、今年度は、学内のテーマ研究発表会の企画・運営を手がけたり、東京都SSH指定校合同研究発表会での運営補助を手がけたり、と活躍の場が一気に広まった。今後の生徒の主体的な取り組みが一層期待できそうである。

校内プロジェクトIII教育支援1では、研究内容の柱 (ⅱ)の国際交流プログラムを実施した。中国・北京師範大学附属実験中学との生徒の研究交流を実現させ、一歩前進した。その他、筑波大学の留学生や諸外国からの理数系教員訪問についても国際交流の良い機会として捉え、生徒との交流の場面をできるだけ設けるよう配慮した。

以上のような校内プロジェクトI,IIIを核とした研究開発は、校内における研究開発のスタイルという観点から見た場合、教科の枠を越えた取り組みとして、本校従来の教科中心型の研究開発から大きく脱却できたと言えよう。生徒主体の取り組みを重視したという点でも自己評価できる。

一方、研究内容の柱(iii)、(iv)、(v)については、これまでのSSHの成果を継承しつつ、教科中心の取り組みにより内容の精選・改良を進め、発展・普及に務めることができた。

②研究開発の課題

来年度も今年度同様に中学3年生の総合学習「テーマ学習」と高校2年生の同「ゼミナール」の合同授業を一部実施し「ゼミナール」・「テーマ学習」間で異学年合同授業の試行を続ける予定である。小学生を教える「サマースクール」についても、中学生も指導者となれる場と位置づけて続けていきたい。また、生徒は教えあい学びあいを通して「より深く学ぶことができたか。」「その過程はどのようなものであったか。」について、効果的なアンケートを作成・実施し、教育的効果を検証していきたい。

北京師範大学附属実験中学との研究交流会については、来年度も実施したいと考えている。ただ、真の相互理解につながる交流会になるように実施時期や内容について改善すべき点も多い。特に発表テーマの選定については中国の生徒にとっても興味関心が持てるよう、専門性のあまり高くない、普段の授業に密着したものを選ぶなど工夫が必要であろう。また帰国後に参加した生徒が核となって国際交流の経験を他の生徒に広げてくれるよう、校内での事後指導の充実も図りたい。

来年度、校内プロジェクトは研究内容を継承しつつ、組織を大幅に変更する予定である。しかし、教科の枠を越えた取り組みの実行組織として今年度同様の位置づけを行い、特にサイエンスコミュニケーション育成のための少人数学習の研究と実践、国際交流研究活動の支援を研究開発重点項目として取り組んでいきたい。