研究開発の柱の一つ、「国際科学五輪などの世界を視野に入れた生徒の自主的研究・交流活動の支援」として、まず第一に数学系・理科系のクラブにおける生徒の活動に目を向け、ここでの人材育成を積極的に進めることが最も効果的であると思われた。クラブには元々モティベーションの高い生徒が集まっており、近年ではクラブ所属生徒が国際五輪で入賞を果たすことが増えてきた。直近の先輩の活躍を目の当たりにするのもまたクラブ活動の場である。第二に理数系クラブに所属していない生徒の中からの発掘である。
まずは、理数系のクラブ活動での生徒の自主的な活動を最大限支援し、ここで国際科学五輪への参加を呼びかけ一次選考に向けての支援、励ましなどを行うこと。次に、授業時の紹介、募集案内の校内掲示などを通してこれらへの積極的な参加を広く呼びかける活動を行った。ここでは、特にクラブ活動との関わりについて詳しく報告したい。
第19回日本数学オリンピックの結果は、平成21年3月末に表彰式があり、上位21名が春合宿に参加し、そこでの試験によって、平成21年度・第50回国際オリンピック(ドイツ大会)出場が決定する。そこには、筑駒から6名が参加することになっている。
平成20年度も数学科学研究会のメンバーから国際オリンピック(第49回スペイン大会)に出場し活躍した。副島 真君(高2)、滝聞太基君(高2)がそれぞれ金メダル、銅メダルを獲得した。2人とも中学からの部員である。
スペイン大会に先立って、平成20年3月末に第18回日本数学オリンピックの表彰式があり、副島君(高1)は銅賞を、滝聞君(高1)は優秀賞を受賞している。部員外であるが、辻 賢太郎君(高1)、檜垣 元秀君(高1)、宮崎 俊平君(高2)、中須賀謙吾君(高1)が優秀賞を受賞している。また、同時期に、第20回アジア太平洋数学オリンピックが行われ、副島 真君(高1)が金賞、川島 夢人君(高3)が銅賞を受賞している。年度末の表彰式では、川井杯(優勝)授与では、この研究会OBの栗林 司(ギリシャ大会銀、メキシコ大会金メダリスト・東大数学科)がカップ・メダルのプレゼンターとして舞台に上がった。また、アジア太平洋数学オリンピックの表彰式では、研究会OBの渡部 正樹(メキシコ大会・スロベニア大会金メダリスト・東大数学科)がトロフィー授与、さらに第6回ジュニア数学オリンピックの表彰式では、三谷 明範(メキシコ大会銀メダリスト・東大医学部)がメダル授与者になり、立派に大役を務めた。
部の最も活躍する舞台は文化祭であり、中学受験すると思われる小学生が大勢生物講義室(数学科学研究会の活動教室)を訪れる。そこでは、TMOと呼ばれる筑駒数学オリンピックを実施していて、保護者が教室後ろでじっと待っている中、TMOの問題に小学生が格闘している姿を見ることができる。優秀者には賞品を出している。(ちなみに、今年は部の名前が入ったペンシル型消しゴム)。年度末には、中・高の部員の論文をCafé Bollweckという名前の部誌を3月末に発刊している。今年も「Café Bollweck(No.9)」を発刊する。
部の卒業生で東大の数学科へ進学する者が毎年出るようになり、ここ数年は部員も含め各期の4~5名が進学している。10年位以前は、4,5年に1人か2人であったから、驚きである。
国際数学オリンピックのメダリストになったOBらは、春合宿に参加し協力することはもとより、大学3年になると国際数学オリンピック大会への選手引率兼コーディネーター(採点とその交渉役)として、日本代表で代々活躍し、数学界で貢献している。
今年度は、残念ながら国際化学オリンピックに部員を派遣することは叶わなかった。しかし、オリンピック代表候補選考を兼ねた全国高校化学グランプリ2007では、金賞を受賞した高校1年生(昨年度)と高校2年生(同)各1名が、日本代表候補となっていた。このうち、2年生は生物部員で、国際生物学オリンピック代表の候補にもなっており、そちらに参加してメダルを獲得した。
来年度の第41回国際科学オリンピックイギリス(ケンブリッジ)大会の日本代表候補選考を兼ねた全国高校化学グランプリ2008では、高校2年生1名が銀賞、高校1年生・2年生各1名がそれぞれ銅賞を獲得し、日本代表候補となり、その後の第2次選考(筆記試験)でも高2生徒2名が候補として残った。現在は、3月の最終選考合宿に向けて、大学の指導教員の研究室を訪問し、指導を受けたりしながら準備を進めている。
また、2010年度の第42回は、日本(東京)大会であり、ぜひ本校から代表を出したいと高校1年生も準備を始めている。
生物部では、近年多くの部員が国際生物学五輪への出場を夢見て国内選抜に参加するようになってきている。2009年の国際生物学オリンピックは国内の筑波大学で開催される。ここで国内選手が十分満足な成果を上げられるよう、今年度から国内選抜は従来より大勢の入賞者を選考しセミナーや研究室での実験体験などのプログラムを包括した「生物チャレンジ」に進化した。このため、中学2年生部員からの参加も見られ、2次選考まで進んだ者もいた。今年度インドのムンバイで開催された第19回国際生物学オリンピックに出場した高校3年生の海老沼五百理君は、見事銀メダルを獲得した。中学生物部部員の頃からのチャレンジャーであり、極めて高いモチベーションをつねに持ち続け、膨大な出題範囲をカバーする学習を継続できた。また、彼は日頃からクラブ活動の場で自ら進んで下級生に生化学や分子生物学の発展的な話をしていた。こうした「教える」という活動が専門的知識をより深く理解することに繋がっていったのではないかと推測している。彼は高校2年次のゼミナールとそれを発展させた高校3年次の卒業研究でもグループの中心となりショウジョウバエを材料にして優れた発生遺伝学的研究(「in situ Hybridizationによるruntの発現パターンの解析」)を行った。
今年度は、国際科学五輪等で合計8個のメダルを獲得した。今年度は、特に数学、物理学、情報分野で同じ生徒が複数のオリンピックに掛け持ちで出場し、メダルを獲得する快挙が目立った。一方で、会期が重なるために複数の国際五輪への出場権を手にしながら一方の出場を断念せざるを得ないケースもあった。
このほかにも、国際五輪への出場者選考を兼ねるそれぞれの国内大会、アジア大会での本校生徒の活躍も目覚ましく、先に掲げた国際五輪の他に合計25個の受賞を獲得している。
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もともと国際五輪で活躍する生徒たちは、教員のトレーニングで育てられるものではない。彼等の持つ潜在的能力が遺憾なく発揮できる場としてのクラブ活動環境を支援することが大切であろう。また、特に中学生や高校低学年生徒への広報周知も、クラブに在籍していない生徒からの人材発掘とチャレンジ精神育成、長期的な準備への動機付けとしておろそかにできない。