英語科では、SSH全体目標の中で、(ⅰ)「サイエンス・コミュニケーション能力を育成する少人数学習の研究と実践」に特に重点を置き、2007年度からの5年計画において、「科学的内容の教材開発とカリキュラム研究」と「生徒各人が口頭発表する能力の養成と科学的リテラシーの育成」という二つの目標を立てた。
仮説「サイエンス・コミュニケーション能力は、全般的なプレゼンテーション能力を基礎とした上に身につく」の下、英語科の共通理解として、各学年とも発表の訓練を出来る限り行うことを前提としている。
昨年度に引き続き、科学的教材や論文などを用いた、生徒のプレゼンテーション能力育成を目指し、以下にその実践報告を行う。
中学において0から始めるという、教科としての英語の性質上、中学では必ずしもサイエンス関連教材ということにはこだわらず、スピーチなどによる基本的プレゼンテーション能力の育成を目指した実践が多い。
1学期は、教科書の例に倣い、簡単な自己紹介をさせた。
2学期は、文法事項が過去形まで終了したのを受けて、3つの学校行事(Sports Festival / Rice Harvest / School Festival)のうち1つを選ばせた。
3学期は、教科書では未習だが、簡単な未来形の導入を行った上で、1年間教わったALTの先生へのメッセージという内容で行った。
人に聞かせるプレゼンテーションの練習として、まず大きな声で、はっきりと、わかりやすく言うように注意し、同時に聞く方もきちんとした態度で聞くように指導した。
中学2年生では、科学的内容として、教科書New Crown English Series 2 Lesson 7 の‘How Can We Find Out’-『ヒートアイランド現象』に関連した論文(米国生物科学学会)の一部(以下)を抜粋したものを読んだ。
Heat islands may impact human health. Summer heat islands can increase the demand for energy for air conditioning, which releases more heat into the air as well as greenhouse gas emissions, degrading local air quality. Higher urban temperatures in the daytime may increase the formation of urban smog, because both emissions of precursor pollutants and the atmospheric photochemical reaction rates increase. Heat islands may also directly impact human health by exacerbating heat stress during heat waves, especially in temperate areas, and by providing conditions suitable for the spread of vector-borne diseases.
(出典)”Urban Heat Islands: Hotter Cities” James A. Voogt (An education resource of the American Institute of Biological Sciences:http://www.actionbioscience.org/)
各自上記トピックでスピーチしたあと、その内容についてALTからの質問に即興で答える。スピーチ+Q&Aで各自の持ち時間は2分間とする。
以下の指導手順で、下の7つからテーマを選んだ。
評価はチームごとに行う。ディベートのポイントとして生徒に指導したのは以下の4点である。
ディベートをやった結果、生徒はかなりの達成感を持つことができた。普段は発表活動に消極的な生徒もチームとして活動したため、懸命に参加していた。また聴衆には評価シートを与え、どちらが勝ったかを具体的な理由とともに書かせて提出させた。的確な批評をしている者が多く、critical thinkingを鍛える一助になったと思われる。
高校英語になると基本語彙も増え、レベルの高い科学的教材に取り組むことが可能になる。ただ、プレゼンテーションの訓練に関しては、科学的内容にこだわらず、様々な内容、形式で行われた。
1学期は、扱った題材(英語史、「ベーオウルフ」、The Railroad Man)に何らかの関連をさせて、2分程度の発表をする、ということにした。
2学期にはAre We Alone in the Universe? (Unicorn English Course L.8)を採用した。これは、宇宙に高い知能を持った生物が存在するかをテーマにした教材である。
またThe Glory that was Greece (J.カーカップ著:成美堂)中の、Medusa, Perseus and Andromedaの2編を扱った。アンドロメダ星雲が出てきた関係で、もともとアンドロメダとはどこから来たかということと関連させて扱うことにした。
学期の最後に、Thomas Jefferson(『アメリカを築いた人々』People Who Made Our Country Great:北星堂)を扱い、ジェファーソンの独立宣言の一部も学習した。
発表活動としては、この独立宣言の一部の暗誦・レシテーションを行った。
高校2年生では、’Unicorn English CourseⅡ’のLesson 5 ‘A Tour of the BrainのChallenge(p.84)の課題を応用して次のようなタスクを生徒達に出した。
Which do you think better, co-ed high-schools, or single-sex high schools?
ペア活動では生徒達は予想していたよりも活発に意見を交換していた。自分の意見を表明する活動に充実感を感じた生徒が多かったようだ。
2学期には以下の形式でスピーチ原稿を書かせ、発表を行った。
(例) 学校行事(文化祭、体育祭、音楽祭など)、社会問題、環境問題、旅行、趣味、特技、将来の夢、社会への提言等
高2の生徒たちのスピーチは概して予想を超えるものであった。多くの生徒は、このようなクリエイティブな活動に多大なモーティベイションを感じているようで、今後のコミュニケーション活動の指導に示唆を与えてくれるような成果を今回得ることが出来た。.
高校3年生では、科学関連の映画として'An Inconvenient Truth'を見せた。科学的内容として優れているだけでなく、プレゼンテーションとしても格好の教材であった。視聴にあたっては、ただ見せるのではなく、最初に聞き取るべき課題を与え、英語の字幕を見る形で行った。
科学的教材としては、以下のようなものを扱った。
以上、各学年でのプレゼンテーションに関係する活動を主に紹介した。次年度以降、各学年の活動が、学年に応じた科学的内容と結び付けられるようなシラバス作りが課題となると言えるだろう。