Ⅱ.研究開発の経緯

  1. (1) 第二年次研究の概略

    5年計画の第2年次は、試行段階と位置づけ、研究内容の柱(ⅰ)(ⅱ)および(ⅴ)について、本格的に実施するための準備を進めるとともに、一部内容を試行した。また、柱(ⅲ)および(ⅳ)については、これまでのSSH研究の評価をふまえ、継続的実践・改良・普及を進めた。以下、研究内容の柱に沿って概略を報告する。

    1. サイエンスコミュニケーション能力を育成する少人数学習の研究と実践

      校内プロジェクトⅠ教育実践1および研究部を中心に、少人数制の授業に効果的な教育環境の充実、カリキュラムの作成、異学年交流を円滑に導入するための授業方法等の研究を継続し、下記のような発表・交流の実践を行った。

      • 7/16 高3テーマ研究生徒発表会 19件(口頭発表+ポスターセッション)
      • 8/7~8 SSH生徒交流発表会(パシフィコ横浜)生徒3名登録(合計7名参加)
      • 8/27~29 目黒区立駒場小学校サマースクール(小学生対象の出前授業・実験) 「ブタの眼の解ぼう」(生物部),「レゴで数学」(レゴ同好会),「電池のしくみ」(化学部)
      • 11/15 高2ゼミナール・中3テーマ学習合同授業の一部実施
      • 11/22 教育研究会体験講座(生徒と参加者とのコミュニケーション) 「レゴで数学」(レゴ同好会),「科学とニセ科学について考える」(高2化学ゼミ),「生き物−からだの形作り−ショウジョウバエの発生を見てみよう」(高2生物ゼミ)
      • 12/21 東京都SSH指定校合同研究発表会 5件(口頭発表+ポスターセッション+展示)
      • 1/10 ゼミナールオープン(中学3年生向け)13講座で実施
      • 3/28 筑駒アカデメイア公開講座(生徒が講師を務める講座) 「レゴで数学」,「電池のしくみを調べてみよう」
    2. 国際科学五輪などの世界を視野に入れた生徒の自主的研究・交流活動の支援

      校内プロジェクトⅢ・教育支援1を中心に、北京師範大学附属実験中学との生徒研究交流会を実施した。また、生徒の国際科学オリンピック、科学コンクールへの参加の支援を行った。さらに、インターナショナル・サイエンス・フェアに生徒を派遣するとともに、筑波大学等の留学生との研究交流をはかった。

      • 10/27~29 International Students Science Fair 2008、生徒1名参加 口頭発表1件
      • 12/25~30 北京師範大学附属実験中学での生徒研究交流会 生徒10名+引率教員4名
    3. 科学者・技術者に必要な幅広い科学的リテラシーを育てるプログラムの実施
      • <数学科・理科>

        講演会・実験講座の内容を精選するとともに、低学年向けプログラムの充実をはかった。

        • 7/11「光が関わる科学現象」 市村禎二郎(東京工業大学理工学研究科) ほか1名
        • 11/29「核磁気共鳴による有機化合物の構造決定−理論と実験−」 下井 守(東京大学大学院総合文化研究科)
        • 12/18「菌類のふしぎセミナー」於:国立科学博物館 柿嶌 眞(筑波大学生命環境科学研究科),細矢 剛(国立科学博物館植物研究部)
        • 12/19「ナノの世界」 真船文隆(東京大学大学院総合文化研究科)
        • 1/24 「モノの価格のフシギ 経済の中の統計学」 中島上智(日本銀行金融研究所)
      • <総合講座>

        「科学者の社会的責任」、「情報伝達」、「スポーツ科学」をテーマとした講演会を実施した。また「科学者の社会的責任」をテーマに広島でのフィールドワークを実施した。

        • 12/13「英文法、日本語文法、そして脳内文法」 畠山雄二(東京農工大学大学院共生科学技術研究院)
        • 8/6~9 総合講座「ヒロシマ」 生徒9名 引率教員2名
        • 12/15 「方言と<文法>」 小西いずみ(広島大学大学院教育学研究科)
        • 12/18 「スポーツトレーニングにおける体力・技術の相補性」 村木征人(筑波大学人間総合科学研究科)
        • 3/11 「科学者の社会的責任 ~科学史の視点から~」 下坂 英(東洋英和女学院大学人間科学部)

      以上のプログラムのうち、校内で行われた講座・講演会は、「サイエンス・コミッティ」(本校の有志生徒・おもに科学系のクラブに所属する生徒や希望者)により、プログラムに関する評価を受けた。これらの評価に基づき次年度以降のプログラムの企画・運営を行う。

    4. 先端技術・研究の成果を活かした授業の普及と次世代SSH教員の養成
      • <数学科>

        SSH5年間で開発してきた教材「統計」「微分方程式」等の授業を実施し、改良を試みた。全国のSSH校から教員の参加者を集めて課題研究に関する研究協議会を本校で開催した。和算をテーマとした教員向けワークショップを実施し、教育研究会でも教材の普及・教員間交流を行った。このほか、北海道札幌東陵高校での研修会を実施した。筑波大学大学院数理物質科学研究科の大学院生を受け入れ、教職インターンシップも実施した。

        • 11/21~22 教育研究会(公開授業)
        • 11/22 和算ワークショップ(教員対象) 講師:佐藤健一(和算研究所理事長)
        • 3/25~27 合同研修会(北海道札幌東陵高校)
      • <理科>

        新しい実験教材を紹介する教員対象の実験研修会を化学科・生物科で企画・開催した。SSH5年間で開発した実験教材による授業実践を継続し、一層の改良を試みた。また、筑波大学大学院生命環境科学研究科大学院生を受け入れ、教職インターンシップを実施した。

        • 8/26 化学科・生物科実験研修会
        • 11/21~22 教育研究会(公開授業)
      • <技術・情報科>

        メカニクス、エレクトロニクス、ITの3者が複合する学習プログラムとして、「1ボードマイクロコンピュータを用いた3Dプロッタ制御による製品設計と製作」をテーマとした高校生向けワークショップを実施した。

        • 7/29~30 「CAD・CAMの世界にふれるワークショップ」 講師:長谷川英夫(筑波大学生命環境科学研究科)
    5. 中高一貫SSHの完成に向け中学に重点を置いたカリキュラム・教材の開発

      以下の内容について研究開発を行った。

      • <数学科>

        これまで開発した高校での教材を踏まえた、中・高をなめらかにつなげる中学生向け教材の開発(2)

      • <理科>

        これまで開発した高校での実験教材を踏まえた、中学生を対象とした実験教材の開発(2)

      • <英語科>

        科学的教材を利用した授業の実践と生徒の発表能力の向上をめざした。百科事典、科学的教材、論文などの文献収集を行い、それらを教材にした授業を展開した。

      • (附)生徒の成果

        平成20年度の生徒の活動結果を以下に記す。( )内は受賞時の学年

        第48回国際数学オリンピック・ベトナム(ハノイ)大会
        金メダル:副島 真(高1)銀メダル:滝聞太基(高1)
        第38回国際物理オリンピック・イラン(イスファハーン)大会
        銀メダル:森田悠介(高3)
        第39回国際化学オリンピック・ロシア(モスクワ)大会
        銅メダル:角田翔太郎、廣井卓思(高3)
        第18回国際生物学オリンピック・カナダ(サスカトゥーン)大会
        銅メダル:仮屋園遼(高3)
        第19回国際情報オリンピック・クロアチア(ザグレブ)大会
        銅メダル:松元叡一(高2)
        第1回国際地理オリンピック・アジア太平洋地区プレ大会(台湾)
        銀メダル:津野田一馬(高2)
        銅メダル:池田悠太(高1)
        平成19年度SSH生徒研究発表会ポスターセッション賞 8名(高3)
        全国高校化学グランプリ2007
        金賞:天野俊太郎(高1)

        海老沼五百理(高2)とともに国際化学オリンピック代表候補となる。

        第18回日本数学オリンピック
        銅賞:副島真(高1)

        辻賢太郎、檜垣元秀、滝聞太基、中須賀謙吾(高1)、宮崎俊平(高2)とともに国際数学オリンピック代表候補となる。

        第6回ジュニア数学オリンピック
        銀賞:吉田健祐(中2)、宮田圭介(中3)
        銅賞:野並 新(中1)
        第7回日本情報オリンピック
        金賞:副島真(高1)
        銀賞:松元叡一(高2)

        滝聞太基、田原拓樹(高1)、周礼賛(高2)、原将己(中2)とともに国際情報オリンピック代表候補となる。

        第51回日本学生科学賞
        文部科学大臣賞:原 将己(中2)
        マイクロソフト奨励賞:鈴木良平(高1)
        入選2等:廣井卓思(高3)
        第17回「私たちの身の回りの環境地図作品展」
        国土交通省国土地理院長賞:齋藤慶人(中1)
        北海道地理学会長賞:水野隼輔(中2)
        日本地図調整業協会長賞:鈴木浩司(中1)
        他 優秀賞6名、努力賞4名
  2. (2) 委員会等の活動
    1. 校内推進委員会

      今年度は、下記のように活動した。

      1. 7/12 第1回運営指導委員会
      2. 1/31 第2回運営指導委員会
      3. 1/26 平成21年度実施計画書提出
      4. 1/30 平成21年度予算案作成のための会議
      5. 2/6 平成20年度事業計画書、事業経費説明書提出
    2. 運営指導委員会

      東京海洋大学、東京大学、ブリティッシュカウンシル各1名、筑波大学3名の方々にお願いした。運営指導委員6名と校内推進委員15名で開催した。

      第1回7/12、第2回1/31

    3. 校内プロジェクト委員会

      校内プロジェクトⅠ教育実践1および校内プロジェクトⅢ教育支援1を中心にSSH事業の一部(研究内容の柱(ⅰ)および(ⅱ))を担当し、4つのプロジェクトが下記のように活動した。

      1. 第1回4/28
      2. 第2回6/2
      3. 6/21 第1回校内研修会(校内プロジェクトⅠが異学年交流授業に関する報告を行った)
      4. 第3回9/16
      5. 第4回11/10
      6. 12/21 東京都SSH指定校合同研究発表会運営補助(校内プロジェクトⅠより教員3名)
      7. 第5回1/26
      8. 第6回2/16
      9. 2/26 第2回校内研修会(すべての校内プロジェクトの今年度活動報告)
    4. 研究部
      1. 5/9 平成19年度SSH事業実施にかかる活動実績調査票提出
      2. 10/21 東京都SSH指定校合同研究発表会準備会議
      3. 12/21 東京都SSH指定校合同研究発表会運営補助
      4. 12/26 SSH情報交換会(文部科学省・JST共催)
      5. 1/8 卒業生対象個人調査アンケート(三菱総合研究所)54期生に発送
      6. 3/12 SSH事務処理説明会(文部科学省・JST共催)
      7. その他、SSH見学来校者対応等
    5. その他

      筑波大学・附属学校連携委員会駒場連携小委員会においてもSSHに関連して筑波大学所属の先生方と様々な意見交換を行った。

      第1回6/14、第2回10/4、 第3回2/7

(文責:研究部 仲里友一)