
C60はサッカーボール型分子として有名 熱演される赤阪先生 筑波大学先端学際領域研究センター・化学系 赤阪 健
1993年に開幕したJリーグは、日本にサッカーブームを巻き起こし、ワールドカップ初出場を実現しました。2002年には夢かなってワールドカップの開催にまでこぎ着けましたが、科学の世界でもミクロな世界のサッカーボール(図1)に魅惑された研究者がフィーバーしています。それは、1985年にすすの中に炭素原子60個からなるサッカーボールの形をした美しい分子C60(図2)が発見されたことに端を発します。炭素の単体物質(同素体)としては、ダイヤモンドや鉛筆の芯に使われるグラファイトが知られていますが、C60はそれらに続く新しい炭素の第三の同素体です。この二十世紀最大の発見の一つに対して1996年度ノーベル化学賞が授与されました。このC60分子から興味深いことに超伝導物質が得られますし、宇宙を漂う星間分子であることもわかってきました。科学のいろいろな分野、化学・物理・生物・医学等、と広く関わりのある分子です。今では、C60に代表されますフラーレンと呼ばれる巨大炭素分子群には数多くの種類があることがわかってきました。ラグビーボール形のC70や炭素数がより多いC76やC84分子などの高次フラーレン、さらにはランタニド系金属原子が炭素のかごの中に入った金属内包フラーレン(図3)と呼ばれる親戚がいます。面白いことに図4のように、金属原子がかごの中で回転しているものも見つかりました。また、フラーレン分子を引き延ばした様なストロー状の構造をしたカーボンナノチューブと呼ばれる炭素多面体(図5)も見つかり、極細チューブ等のいろいろな顔や姿をした、いわゆる「かご状炭素ナノ集合体」呼ばれるべき仲間たちもいます。これらはアーク放電装置(図6)等により実験室で合成することができ、これらを炭素素材原料として新たな物質が無数に化学合成できることも分かってきました。サッカーボールを組み合わせた結晶、ボールにひげの生えた化合物やボールを繋いで得られる真珠のネックレスのような高分子など、それらが一体どのような新しい性質を示してくれるのか楽しみです。
興味深いお話に聞き入る生徒たち

スペシウム光線のエネルギー源は“スペシウム元素”を内包したC60!? |